日記

序文

今日は東方しかやらんかったな。 電車内で無機化学の本(無機・分析化学演習~大学院入試を中心に~)を読んだ話でも書こう。

鉄のポルフィリン錯体

ヘモグロビン(Hb)のヘムの酸素結合についての問題。ヘムは錯体中心である鉄イオンはヒスチジンのイミダゾール基酸素と廃位結合しており、酸素O2が結合していない状態では5配位、結合している状態では6配位構造をとる。後者オキシ体は、鉄イオンがポリフィリン平面内にあり、3価の低スピン状態(問題の答えを前もって書くスタイル)である。前者デオキシ体は0.4Åポリフィリン環平面から離れており、2価の高スピン状態である。

ここで問題となるのが、

【問題】
「FeおよびO2の電子状態を考え、オキシ体で鉄原子がポリフィリン管内に移動する理由を述べよ。」(※一部省略)

問題文中には
・オキシ体の鉄原子には不対電子が1個存在する
・ラマンスペクトルにおけるO-O伸縮振動は約1105cm-1である
と書かれている。

先ず一つ目から考えてみよう。鉄の電子配列は[Ar](4s)2(3d)6であり、2価,3価の鉄イオンはそれぞれ[Ar](3d)6,[Ar](3d)5となる。不対電子が1つ存在するためには3価の低スピン状態であると考えれる。つまり酸素分子が配位する過程で鉄分子が1電子酸化されたことになる。
そしてラマンスペクトルについてだが、詳細は後述するとして、ここではO-Oの結合次数が1.5であるとだけ書いておこう。

以上のことから、酸素と鉄イオンが配位結合する過程で、鉄イオンが1電子酸化され、酸素分子が1電子還元されたことがわかる(これも詳細は後述)。また鉄イオンは2価より3日の方がイオン半径が小さく、ポリフィリン環内にはまり込むことができる。

遷移金属の電子配列,6配位正八面体の配位分裂,等核2原子分子の分子軌道論,分光測定の知識が必要であり、今日一番印象に残った問題であった。
続いて2問目と行きたいところだが、キーボードと Markdownに不慣れな上、もう夜も遅いため今日はこれくらいで止めておく。

[引用・参考文献]

無機・分析化学演習~大学院入試を中心に~